韓国と西日本におけるHBV関連肝疾患の血清学的ならびに病理組織学的比較検討
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概要
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韓国と西日本地域におけるHepatitis Bvirus(HBV)キヤ1ノアーの頻度を, 血清のみならず肝組織を用いて比較するとともに, 地域間の肝疾患組織像の異同を調べることを目的とした. 組織材料として, 韓国の高神大学の開腹生検肝200例, 北九州地区解剖例400例, 大阪府法医解剖例576例の肝を用いた. 高神大学病院と産業医科大学病院の, 患者間ならびに, 両病院職員間の血清HBsAg陽性率を比較したところ同陽性率は, ともに高神大学で約2倍の高値を示した. 肝組織内HBsAg陽性率は高神大学10.5%, 北九州1・14.3%, 大阪0.5%であった. 肝硬変や肝細胞癌例中のHBSAg陽性率は高神大学で最も高かった. 高神大学の肝細胞癌患者は産医大例よりも平均11才若く, 低分化な例や, 肝硬変非合併例が多い傾向がみられた. すなわち韓国の肝細胞癌は, 西日本より高頻度のHBVキャリアーを背景に発生し, 生物学的特性も多少異なる可能性が示唆された.(1989年2月8日 受付,1989年4月21日 受理)
- 産業医科大学学会の論文
- 1989-06-01