「ニコラの告白」と「オーレリア」の比較研究
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概要
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ジェラール・ド・ネルヴアルは「ニコラの告白」の執筆を通して, 18世紀の作家であるレチフ・ド・ラ・ブルトンヌを研究した. 従来, この作品と「シルヴイー」との関係を論じる場合が多かった. 本論文においては「ニコラの告白」と「オーレリア」とを比較し, 類似した内容に着目して, それらの類似から重要なテーマを抽出した. 特に<魂の不滅><他の生>く蹟罪>を選択する, この選択はネルヴアル世界における重要度と, これらの二つの作品「ニコラの告白」と「オーレリア」における類似の箇所の頻度によるものである. これらのテーマは「オーレリア」の語り手"私゛のオーレリアに対する愛に深くかかわっている. ひいてはネルヴアルの生の欲動と死の欲動に由来するテーマでもある. このようにネルヴアルは, 「ニコラの告白」の執筆により重要なテーマを見いだし, それらを「オーレリア」において大きく発展させている. つまりこの作品の執筆は一種の文学批評であり, 彼の思考のリズムは十分に「オーレリア」において生かされている(1988年11月14日 受付 1988年12月19日 受理)
- 1989-03-01
著者
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