魚類の卵濾胞細胞の微細構造と組織化学
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概要
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硬骨魚アマゴ(Oncorhychus rhodurus)の排卵前後の卵濾胞組織において, 特にステロイド産生部位を明らかにする目的で微細構造的および組織化学的検索を行った. 排卵前の濾胞組織では, 莢膜細胞層の特殊な細胞(special thecal cell : ST細胞)が管状のクリステを有するミトコンドリアおよび多数の滑面小胞体等, ステロイド産生細胞特有の微細構造を有していた. 一方, 顆粒膜細胞は粗面小胞体が発達し, タンパク分泌細胞の特徴を有しでいた. 卵成熟期には顆粒膜細胞およびST細胞の微細構造に顕著な変化が認められた. 前者では粗面小胞体の拡張, 後者では滑面小胞体の発達が観察された. 組織化学的には, 排卵後濾胞のST細胞にのみΔ^5-3β-hydroxysteroid dehydrogenase活性が認められた. これらの実験の結果から, ST細胞がアマゴ卵濾胞組織におけるステロイド産生の主たる部位であることが強く示唆された.
- 産業医科大学学会の論文
- 1985-03-01