ラットの小脳プルキンエ細胞の活性に対するジフェニールヒダントインの効果
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概要
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ジフェニールヒダントイン(DPH)は最も愛用されている抗てんかん剤の一つである. その作用部位の1つにプルキンエ細胞(PC)があり, その細胞の自発発射放電を増強させることがわかっている. さらに, てんかん発作の源からおこる放電を抑制する作用部位が脳内に数か所あるが, 小脳からの抑制作用が最も安定していることがわかっている. そこで小脳皮質からの唯一の出力神経線維であるプルキンエ細胞の活動に対するDPHの効果について調べてみた. 下オリーブ核を二重または多重電気刺激すると登上線維によって小脳プルキンエ細胞の反応は促通し大きくなり, つづいて抑制がおこる. DPH(50 mg/kg)の腹腔内注射によって, この促通はさらに亢進し, 特にテタヌス刺激中増大をつづけ, 200Hzの頻度の刺激に対しても同様の現象がみられた. 小脳のプルキンエ細胞軸索のクロナキシーはDPHの処理によって何ら変化がみられなかった. これらの結果から, てんかん発作に対するDPHの抑制効果の1つとして, 下オリーブ・小脳系におけるシナプス伝達の促通によるプルキンエ細胞の活動の増強が関与することが示唆される.
- 産業医科大学学会の論文
- 1981-12-01