酸化エチレンの慢性毒性, 特にヘム代謝への影響
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概要
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酸化エチレン500ppmをウイスタ一系雄性ラットに1日6時間, 隔日週3回, 3カ月間曝露させ, 同一食餌量とした対照群との比較を行った. その結果, 曝露群では曝露開始約1カ月半後より失調性歩行を認め, 徐々に増悪した. 末梢血では, 正球性正色素性の貧血を認めた. 血清中肝諸酵素活性, 脂質, 電解質に異常はみられなかった. 一方, 肺と脳のシトクロムP-450,NADPH-cytochrome c reductase, 肺のNADH-ferricyanide reductaseには変化がみられず, 肝のミクロゾーム蛋白量, シトクロムb5, NADPH-cytochrome c reductase, NADH-ferricyanide reductaseにも有意な変化を認めなかった. しかし, 肝においてシトクロムP-450は対照群に比し28%の低下, プロトヘムは19%の低下を認め, さらにヘムオキシゲナーゼ活性の約100%の増加を認めた. 以上より, 酸化エチレンは, 肝シトクロムP-450のヘムを障害し, ヘム代謝障害を惹起することが考えられた.(1987年11月13日 受付)
- 産業医科大学学会の論文
- 1988-03-01
著者
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