企業内診療所におけるHelicobacter pylori除菌治療の費用効果分析
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概要
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消化性潰瘍は慢性再発性疾患であり,十二指腸潰瘍ではH_2ブロッカー維持療法で年間約30%に再発が生じる.本研究では,再発を著明に抑制するHelicobacter pylori(HP)除菌治療がもたらす費用対効果を,H_2ブロッカー維持療法とで比較検討した.企業内診療所を受診した99人のHP陽性患者のうち,希望した49人の患者に除菌を行い,残り50人にranitidineの維持療法を一年間行った.除菌率は86%であった.一年間の潰瘍再発は維持療法群で24%,除菌群では6.1%と除菌で明らかに再発が抑制された.種々の直接・間接コストを用いた総費用は除菌102,664円,維持療法150,356円と除菌が維持療法を下回った.さらに,医学判断分析と除菌率などを変数とした感度分析においても,総費用は常に除菌が維持療法を下回った.したがって産業現場におけるHP除菌治療は,H_2ブロッカー維持療法に比して低コストであり,潰瘍再発抑制のみならずコスト削減の意味からも推奨される治療法と考えられた.
- 産業医科大学学会の論文
- 2002-06-01
著者
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