3軸加振装置の振動特性
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概要
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本学共同利用研究センター振動室には,全身振動が人体に及ぼす影響を研究する目的で,油圧式3軸加振装置が設置されている.この装置は入力電圧にみあった変位でシリンダを駆動し,振動台を加振する.許容最大変位は50mm,そのときの電圧は10ボルトであり,したがって,変位と電圧の関係は5mm/voltとなる.ここで,変位を数式で表すと次式になる. χ(t)=Asin(ωt+ψ) ただし,A,ω,ψはそれぞれ振幅,角速度,初期位相であり,ωはω=2πfの関係がある.fは振動周波数.変位を2回微分すると加速度になるので, a(t)=d^2χ(t)/dt^2=-Aω^2sin(ωt+ψ)=-ω^2χ(t) これらの関係から,特定の周波数である加速度の振動を得るための入力電圧を求めることができる.本稿は,振動台が加速度実効値(r.m.s.)1.0m/s^2で加振するような入力電圧で加振装置を駆動し,その振動特性を検討した.【方法】周波数1,2,4,6,8,10,12,14,16Hz,理論上加速度実効値が1.0m/s^2となるような入力電圧で,X軸(前後方向),Y軸(左右方向),Z軸(上下方向)をそれぞれ加振し,振動台と被験者がすわった椅子座面に取り付けたピックアップで加速度を各条件で3回計測した.被験者は3名で彼らの体重は45kg,65kg,80kgである.【結果と考察】測定した加速度波形は正弦波にかなりの歪を含んでいた.これは,加振装置が油圧式であるために生じる.したがって,原波形に帯域通過フィルタを通し,各中心周波数成分のみについて分析を行った,(1)振動台の振動特性:3軸ともに1から12Hzまでは平坦でほぼ1.0m/s^2である.14,16Hzでは0.8から0.2m/s^2まで減少する.S.D.は全測定データで0.087以下であった.(2)椅子座面の振動特性:X,Y軸は被験者による差はほとんどなく,特性はほぼ一致している.Z軸は被験者によって加速度がかなり異なる.概して,体重が大きいほど加速度は小さくなっている.【結論】振動台の振動特性は,周波数1Hzから12Hzまでは平坦であった.椅子座面の振動特性は,特にZ軸で被験者の体重によると考えられる差があった.本装置を使用して振動実験を行う場合は,これらの特性の違いを考慮する必要がある.
- 2002-03-01
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