人員削減後における断続勤務労働者の包括的健康度に関する研究
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概要
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人員削減後まもない製造業関係の某企業職員441名(男性340名,女性101名,平均年齢41.0±11.1歳)を対象として、定期健康診断の実施時期に、努力・報酬不均衡状態およびオーバーコミットメント、バーンアウト、自覚症状、労働時間、ライフスタイルなどに関する質問紙調査や、血清コルチゾールの測定を実施し、努力・報酬不均衡状態の有無、オーバーコミットメントの多寡と、バーンアウト、自覚症状、健診結果、血清コルチゾールとの関係について検討を加えた。その結果、努力・報酬不均衡群では、努力・報酬均衡群と比べて、自覚症状やバーンアウト傾向の増加、ALTや赤血球数の上昇、HDLコレステロールの低下が認められた。一方、高オーバーコミットメント群も、低オーバーコミットメント群と比べて、喫煙率や自覚症状、バーンアウト傾向の増加、ヘマトクリット値の上昇を示していた。バーンアウト傾向に対しては、努力・報酬不均衡状態、高オーバーコミットメント傾向、長時間労働が有意に関与していた。これより、人員削減後まもない労働者では、努力・報酬不均衡状態によって様々な心身の健康度の低下が生じていることが窺われ、その一因としてオーバーコミットメント傾向が関与していることが示唆された。したがって、そうした労働者の健康管理においては、企業側への働きかけによって努力・報酬不均衡状態の是正を計るとともに、オーバーコミットメントの要因となるType A傾向やストレス対処行動などの、個人的な特性へのアプローチも併せて行うことが重要と考えられた。
- 産業医科大学学会の論文
- 2002-03-01
著者
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