悪性症候群発症に際し抗精神病薬を中断した後,持続的な重度の徘徊が出現したうつ病の1例 : 離脱性アカシジア関与の可能性について
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概要
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症例は,36歳女性のうつ病患者である。経過中に被害妄想を呈したことから抗精神病薬が開始された。増量に伴い,徘徊などのアカシジアが出現し,さらには悪性症候群の発症に至った。そのため抗精神病薬を中断したところ,悪性症候群は軽快したが,徘徊はさらに増強し,会話の障害や不潔行為が生じた。これらの症状はlevomepromazineとamitriptylineの投与により次第に軽快した。抗精神病薬中断後の種々の症状を,単にアカシジアの遷延と捉えることは,中断後にその程度や頻度が増したことから困難であった。一方,いわゆる焦燥型うつ病の症状としてすべてを把握することも,患者から焦燥感の訴えがまったくなかったことから積極的には支持されなかった。他方,抗精神病薬中断により「離脱性アカシジア」が出現し,鎮静目的で投与したlevomepromazineが薬理的には再投与薬として離脱症状を改善させた可能性が推定された。
- 産業医科大学学会の論文
- 1997-03-01
著者
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