冬虫夏草とG蛋白共役型受容体
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概要
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冬虫夏草の一種から単離された免疫抑制物質をヒントに,シクロスポリンを上回る強力な免疫抑制作用を示すFTY720が合成された.FTY720はシクロスポリンや他の既存の免疫抑制薬とは異なりリンパ球の造成や活性化には影響せず,二次リンパ系組織へのホーミングを促進して末梢血中の循環リンパ球数を減少させ免疫抑制作用を発揮する.最近,FTY720は生体内ではスフィンゴシン・キナーゼによりリン酸化され,このリン酸化型FTY720がリンパ球に発現するG蛋白共役型受容体のスフィンゴシン1-リン酸(sphingosine1-phosphate: SIP)受容体に作用することが明らかにされた.これまでSIPは血小板由来脂質メディエータとして内皮や平滑筋などの血管壁細胞への作用が注目されてきたが, FTY720の作用機構の解析や筆者らの最近の研究成果からSIPの免疫・炎症反応との深い関連性が明らかにされつつある.
- 産業医科大学学会の論文
- 2004-06-01