培養ラット海馬神経細胞における ras p21 類似低分子量 GTP 結合蛋白質 smg p25A の発現
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概要
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哺乳類脳におけるras p21類似低分子量GTP結合蛋白質smg p25Aの局在,輸送動態を明らかにする目的で,ラット新生仔脳より海馬細胞を分離,培養し,海馬神経細胞におけるsmg p25Aの発現の変化を免疫細胞染色法により調べ,シナプス小胞特異的蛋白質であるシナプトフィジンとの比較により解析を加えた。その結果, 1)単層アストロサイト上に海馬細胞を低密度で培養した場合,シナプトフィジンの発現は培養初期(1.5日)には海馬神経細胞体ならびに神経突起に認められ,以後,培養日数の経過に伴い,神経細胞細胞体から神経突起へとその局在の変化が認められた。一方.smg p25Aは培養全期間(15日)を通じて神経細胞体ならびに神経突起にその発現が認められ,局在の変化は認められなかった。2) ポリエチレンイミンコーティング上で高密度に海馬細胞を培養した場合,シナプトフィジンは培養初期(5日)にはすでに,神経突起に局在し,培養日数の経過に伴って,より複雑なネットワークを形成する神経突起にその局在が認められた。一方,smg p25Aは培養初期(5日)には神経突起には発現が認められず,神経細胞細胞体にのみ局在し,以後,培養日数の経過に伴い神経突起にもその発現が認められた。これらの結果より,培養ラット海馬神経細胞において,smg p25Aの局在,細胞内輸送動態がシナプトフィジンとは異なっていることが示唆された。