Maillard 反応後期化合物の測定法の確立とその生体内変動に関する研究
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概要
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Maillard反応は蛋白と糖との非特異的結合反応であり,その後期段階化合物は蛍光及び架橋を有する。この反応が生体の長寿命の組織蛋白に生じた場合,後期化合物が蓄積して組織蛋白の本来の機能に影響を及ぼす可能性が考えられる。著者らは, glucoseと牛血清アルブミンをincubationし,高速液体クロマトグラフィーを用いて, Maillard反応の後期化合物をそれが有する蛍光特性を利用して測定する方法を開発した。さらに,本法を用いてラット大動脈における後期化合物を測定した。また, Maillard反応初期段階化合物はfurosine測定法を用いて測定した。非糖尿病ラット大動脈のfurosine値は50〜70週齢まで加齢に伴って上昇し,90,120週齢では週齢の増加と共に減少した。一方,後期化合物は加齢と共に90〜120週齢まで増加を続けた。さらに,streptozotocin糖尿病ラット大動脈のfurosine値及び後期化合物は,非糖尿病群に比較して有意に高値を示した。以上,Maillard反応の後期化合物測定法を確立した。また,それを用いて,ラット大動脈コラーゲンではMaillard反応後期化合物が加齢と共に蓄積,増加していることを証明した。この事実は,Maillard反応が動脈硬化など加齢にもとづく病態の進展因子の一つとして重要であることを示唆した。また,糖尿病はMaillard反応を促進し,加齢にもとづく動脈硬化の進展をさらに促進する可能性があるものと考えられた。
- 神戸大学の論文