「デンマークにおける双極性障害に関する患者ならびに家族のリスクファクター」
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概要
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親や兄弟が有する精神障害や出身地, 出生季節, 血縁者の特徴, 出生順, 妊娠中のインフルエンザ流行の有無, 若年時に親と死別しているか, 以上の項目と双極性障害の関係を調査した. デンマークの中央記録簿を利用し, デンマーク市民登録システムのデータに基づいて210万人のデータを利用した. 追跡すると3,180万人/年に相当する. そのうち, 初診で双極性障害と診断され医療機関を利用した人は2,299人であった. 双極性障害の発症リスクは両親, 兄弟の統合失調症や統合失調, 感情障害を含めた他の精神疾患罹患歴と相関があった. 双極性障害に罹患した一親等血縁者をもつ人々は13.63倍リスクが増大した(95%信頼区間, 11.81〜15.71). 早期に親を亡くすこと(特に母親)と双極性障害との相関も認められた. 15歳以前に母親を失っている子供たちは4. 05倍双極性障害のリスクが増大した(95%信頼区間, 1.68〜9.77). 今回の調査で得た主な結果は, 双極性障害の発症リスクは両親や兄弟の双極性障害のみならず統合失調症, 統合失調, 感情障害といった他の精神障害の既往と強い相関を示すということであった. 人生早期に親を喪失する体験は, 遺伝とは異なるリスク要因となる可能性がある. 今回の調査では統合失調症と関連があると考えられるいくつかの要因(つまり出身地の人口, 出生季節, 母胎内にいた際のインフルエンザの流行の有無, 血縁者の特徴)は双極性障害の発症リスクとは関係がないという結果であった. この調査結果は, 統合失調症と双極性障害は異なる病因をもつという根拠となると思われる.
- 2004-10-01
著者
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