"脳死" : 外来文化移入の中で
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
われわれ日本人は現在まで、ほとんどあらゆる先端医療を旺盛に摂取し、開発もしてきたが、「脳死」の採用については躊躇しているように見える。それは「脳死」を支えている欧米思想の論理とわが国の精神風土のパラダイムがかみ合わないからではないのか。そこでまず、日本の外来文化摂取の歴史的経緯の中に西洋医学を位置づけ、実学・技術、あるいは自然科学として摂取された西洋医学と先端医療との関わりを考える。次いで、わが国に歴史的にも地理的にも普遍的に存在した、村落共同体的な地域社会の中で形成・継承されてきた<ムラ>意識の示す日本人の知の在り方や人間観と、欧米の思想的・宗教的伝統を背景に成立しているとみられる「脳死」の論理との関わり合いを概観してみたい。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1992-11-30