脳死論議における量と質
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概要
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脳死状態の人はなぜ死んでいるのかを説明するとき、必ず出てくる二つの議論がある。有機体統合説と最重要臓器説である。しかしながら、それらの二説をもっても未だ脳死議論に決着がついたとは言い難い。その理由はそれら二説は全体性の観点から必ず反論されるからである。拙論では、これら二説によるのみでは脳死議論は論理的に言っても決着がつかないことを説明した。なぜなら、これら二説は全体性からする脳死反対論の反定立にすぎないからである。従って、拙論では、こうした量的な議論はやめて、質的な議論をすべきではないかと提唱した。それは減少と絶滅との間の質的差異に思いをいたすということである。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1997-09-08