臨床看護婦の倫理的ジレンマの構造と生命倫理原理 : エンゲルハートの「自律」・「恩恵(善行)」の原理を分析視点として(第8回日本生命倫理学会年次大会セッション「インフォームド・コンセント, 倫理的ジレンマ」)
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概要
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本研究は、看護婦の日常的な看護活動の中に起きているジレンマについて、臨床経験4年以上の、いわゆる中堅看護婦(25名)に半構成的質問用紙に基づいたインタビュー調査を実施し、ジレンマの倫理的な構造を明らかにすることを目的としたものである。看護婦が感じている問題状況の中から、倫理的ジレンマと考えられる場面を著者が選択し、延べ52場面を考察の対象とした。これらの場面では、倫理的原理が並存・対立していると解釈できるがそうした原理として、エンゲルハートの「自律」の原理と「恩恵(善行)」の原理、さらには看護婦の職業倫理により次のように分類された。(1)「自律」と「善行」の原理の対立によるジレンマ(2)「自律」の原理の不徹底により生じるジレンマ(3)「善行」の原理の不徹底により生じるジレンマ。これらは、人間関係において生じているが、さらに看護婦の職業倫理の問題も複雑に絡み合っていることが明らかになった。また、看護婦はこれらの問題を倫理的問題という自覚はしていないため、個人的な力量や問題状況という捉え方をしてしまっていることが分かった。また、これらの問題の分析視点としてエンゲルハートの生命倫理原理が活用できることが確認できた。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1997-09-08
著者
関連論文
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