持続頭蓋内圧測定及び髄腔内容量負荷試験による乳幼児水頭症の病態に関する臨床的研究
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概要
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2歳以下の乳幼児脳室拡大例27例に持続頭蓋内圧測定,髄腔内容量負荷試験(infusion-study) 及びMetrizamide CTシステルノグラフィ(CTC) を行なった。対象を,進行性脳室拡大あるいは臨床症状の進行性憎悪を認め短絡術を施行した正常圧水頭症群と進行性脳室拡大を認めず臨床症状も安定している停止性水頭症群及び脳萎縮群の3群に分類し比較検討した。持続圧測定の結果,基礎圧は3群の聞で有意差は認められなかったが,最高圧は正常圧水頭症群で有意に高値を示した。infusion-studyでは髄液吸収抵抗(outflow resistance of bolus injection:Rob)及び圧容量指数Cpressure-volumeindex:PVI)は正常圧水頭症群で有意に亢進していた。また停止性水頭症群では回帰分析にてRobとPVIは強い負の相関が認められた。さらに,Robが高いもの程CTCによる髄液循環障害は強く,停止性水頭症群では, 63.6%がCTC上正常髄液循環を示したのに対し,正常圧水頭症群では全例が造影剤の停滞傾向を示した。以上の結果より,髄液吸収能の差がこの2つの病態に関与していると考えられ,これらの補助的検査法は正常圧水頭症と停止性水頭症の鑑別に有用であると考えられた。
- 神戸大学の論文