Alの神経毒性について : 坐骨神経鞘下投与での初期変化
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概要
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1965年Klatzoの報告以来Al脳内投与により脳脊髄に神経原線維様変化の出現することが知られている。Alは経口投与でも低Ca,低Mg状態で神経毒性を示し,家兎の前角に多数のspheroidが認められた。本研究は,更に末梢神経侵襲による影響を検討した。正常食で飼育した家兎10匹を3群にわけ,麻酔後micro syringeを用い坐骨神経鞘下に投与した。(1群:Al.chloride溶液 2群:Al. lactate溶液 3群:コントロールとして生食または1.8-3.6%lactic acid溶液)2-4週間後,組織学的,組織計測学的検討,及びAlの検索として,放射化分析, Morin染色を行った。結果として,組織学的に1,2群の家兎前角にspheroid,神経細胞変性,また核にMorin (+)反応があった。Al投与群では,神経細胞数の減少,小型化がみられた。放射化分析でも腰髄前角,坐骨神経近位部で高Al値が得られた。3群ともに坐骨神経のaxon,髄鞘に異常は認められなかった。また腰髄前角でもcentral chromatolysisよりも細胞内に線維成分増加が強く認められた。これらのspheroid生成及び細胞内線維成分増加は,Alの脊髄前角に対する逆行性侵襲によるものと考えられた。
- 神戸大学の論文