刺激等価性における物理的特性の機能
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概要
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駒沢大学青塚徹(注2)刺激等価性パラダイムによる基礎的研究においては、共通する物理的特性を排除した刺激による刺激クラス形成が検討されてきた。しかし、人間の記号使用と概念的行動の関わりを明らかにするため、物理的特性を排除した刺激とそれを持つ刺激の両方を、同時に用いた刺激クラス形成が検討されなければならない。実験1においては、共通する物理的特性を持つ6個の刺激(小、中、大の3個の正三角形、3個の正方形)を見本刺激とし、共通する物理的特性を排除した6個の刺激を比較刺激とする条件性弁別訓練を、大学生10名に対して行った。テストセッションにおいては、訓練で見本刺激が持っていた物理的特性が関与した刺激クラスが、訓練の比較刺激の間に成立するかを調べた。その結果、物理的特性に仲介された刺激クラスが全ての被験者で成立した。実験2においては、実験1と異なる大学生10名に対して物理的特性を排除した刺激のみを用い、実験1と同じ手続きで訓練を行った。さらに、実験1の形の次元の物理的特性に相当する2つの刺激クラスを、最初の訓練の見本刺激の間に形成する訓練を行った。テストセッションにおいては、最初の訓練の比較刺激の間に、2つの推移的な刺激クラスが成立するかを調べた。その結果、6名の被験者でそれが成立した。今回の結果により、刺激に共通する物理的特性が、物理的特性を排除した刺激間の刺激クラスの成立において仲介的機能を果たすことが示された。
- 日本行動分析学会の論文
- 1995-06-15