小児期IgA腎症におけるリンパ球サブセットと機能
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概要
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13名の小児期IgA腎症患者と,10名の年齢を一致させた健康小児におけるTリンパ球の機能を比較検討した。Tリンパ球の機能として抹消血単核球(PBMC),およびPBMCからCD4+T細胞を除去した(suppressor-rich)系,あるいはCD8+T細胞を除去した(helper-rich)系の免疫グロプリン産生能を泌躍した。Mitogenとして,Pokeweed Mitogen (PWM)およびStaphylococcus aureus Cowan I (SAC) を用いた。Tリンパ球サブセットは二色分析フローサイトメトリー法によって検討した。IgA腎症患児は健康小児と比較して, (1) PBMCのIgA産生能はMitogenによって刺激した系,刺激しなかった系いずれも有意に亢進していた,(2) CD4+T細胞を除去した(suppressor-rich)PBMC系ではIgGおよびIgAの産生が有意に亢進していた, (3) CD8+T細胞を除去した(helper-rich)PBMC系ではIgGおよびIgAの産生が有意に亢進していた, (4) リンパ球サブセットについてはsuppressor-inducerT細胞(Leu3a+Leu8+)が有意に減少していた。これらの結果,小児期IgA腎症患者のPBMCによるIgA産生能の亢進はsuppressr-inducerT細胞の減少,suppressorT細胞の機能低下,helperT細胞の機能亢進によることが示された。
- 神戸大学の論文