一過性脳虚血時における脳機能の回復脳について : Direct cortical response (DCR) による実験的検討とその臨床応用
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概要
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我々は一時的血流遮断による脳虚血時における脳機能の回復能をDirect Cortical Response (DCR)を測定することにより検討した。動物実験は成猫24匹の中大脳動脈を経眼窩的に一時遮断し脳虚血を作成した。血流遮断後DCRの振幅は消失した。遮断時間が45分までの例は遮断解除後DCRの振幅は完全に回復したが,60分遮断例ではDCRの振幅は回復しなかった。臨床例では43例の脳動脈瘤患者の手術において近位脳動脈遮断時のDCR変化を検討した。総頸動脈遮断16例は全例DCRは変化しなかった。両側前大脳動脈遮断8例,内頸動脈遮断2例,中大脳動脈遮断17例ではDCRは変化したが,これらを振幅の減少率と虚血の持続時間に基いて5群に分類した。第1群は遮断解除前に自然に振幅が回復した例(4例),第2群は減少率が70%以内であった例(7例),第3群は減少率が70%以上であったが持続時間は20分以内の例(9例)で,これらは全例DCRの振幅は完全に回復した。第4群は減少率が70%以上でしかも持続時間は20分以上の例(5例)で,振幅の回復は不完全であった。第5群は血流遮断が30分以上でDCRが回復しなかった例(2例)であり術後灌流領域に梗塞をきたしていた。本研究の結果,DCRはその振幅が消失した場合遮断時間は電気生理学的にも安全であると考えられる20分以内が安全域として臨床的にも応用できると考えられる。
- 神戸大学の論文
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