多発性嚢胞腎に合併する脳動脈瘤 : 疫学的意義と臨床上の諸問題
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概要
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多発性嚢胞腎に合併する脳動脈瘤の臨床病理学的検討を加えた。多発性嚢胞患者53名のうち脳動脈瘤破裂によりクモ膜下出血を起こした21名,その家族で未破裂脳動脈瘤を認めた12名,脳動脈瘤の合併のなかった20名を対象にした。脳動脈瘤を合併した33名中32名で脳動脈瘤の最大径を測定できた。破裂脳動脈瘤例20個の大きさは7.3±2.2mm,未破裂脳動脈瘤例12個の大きさは4.0±1.5mmであった(P<0.05)。また動脈痛合併の32例中,高血圧症を伴った21例の動脈瘤最大径は6.6±1.9mm,正常血圧例であった11例では4.5±1.9mmと小さかった(P<0.01)。高血圧の合併は破裂脳動脈瘤例21例中18例に,未破裂脳動脈癌瘤例12例中4例に認められた(P<0.01)。脳動脈瘤の発生部位では,50個中22個が中大脳動脈瘤であった。また多発性脳動脈瘤例が33例中13例に認められたのも大きな特徴であった。腎腫大の程度・腎嚢胞の個数・腎嚢胞の大きさという観点より,腹部X線CTによる多発性嚢胞腎の進行度分類を行った。脳動脈癒合併との相関が認められたのは,腎腫大の程度による分類だけであった。