視床下部GRFmRNAのGHおよびIGF-Iによるネガティブレギュレーション
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概要
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視床下部GRF及びSRIFの合成におけるGHの果たす役割については充分には明らかでは無い。そこで著者はまず,成長期の雄ラットに3週間にわたりGRF抗体, SRIF抗体,及びその両者を腹腔内投与し,視床下部GRF,SRIF及び下垂体GHのmRNA量を測定した。この方法により流血中の内因性GRFが中和されると,血中IGF-I,及びNorthern blotで測定した下垂体GH mRNA量は著しく減少し,一方,弓状核GRFmRNA量はNorthern blotでもin situhybridizationでも有意に増加した。室周囲核SRIF mRNA量も僅かに減少したが,Northern blotでは有意な減少は認めなかった。抗SRIF抗体投与によって内因性SRIFを中和しでも,視床下部GRF及びSRIFのmRNA量には影響は無かったが,視床下部GHのmRNA量は僅かに減少した。次にGRF抗体投与による視床下部GRF mRNA量の増加が血中GHあるいはIGF-I値の低下によるものかどうかを明らかにするため,成長期の雄ラットを2週間にわたりGRF抗体で処置し,2週目にはGHもしくはIGF-Iを補充し,視床下部GRF及び下垂体GHのmRNA量をNorthernblotで測定した。GHもしくはIGH-Iで補充すると,内因性のGRFの中和による視床下部GRF mRNA量の増加は抑制された。これらの結果より,内因性のGRFが下垂体GHの合成に必須であり,GH及びIGF-Iは視床下部GRFの合成を抑制していると考えられた。