脳虚血に伴う脳毛細血管内皮細胞におけるグルコース輸送動態の変化
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概要
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in situ brain perfusion法を応用して,脳虚血が脳毛細血管内皮細胞におけるグルコース輸送動態におよぼす影響を定量的に検討した。対象は64匹の成熟雄性Sprague-Dawleyラットで、対照群と虚血群の2群に分けた。虚血侵襲として1時間の両側総頸動脈と椎骨動脈の閉塞(four-vessel occlusion)を行った。両群ともラットの左外頸動脈に逆行性にカニュレーションした後,灌流液を灌流量のトレーサーである[3^H]-diazepamとグルコース・アナログトレーサーである[<14>^C]-2-deoxyglucoseで二重標識して種々のグルコース濃度にてラット左大脳半球を30秒間灌流した。灌流後,放射活性を測定して脳の局所灌流量並びに2-deoxyglucose取り込み量を求め,両者の値より各部位の脳毛細血管permeability surface area products (PA)を計算した。結果は両群の灌流量には有意差を認めなかったが, PAは虚血群で有意に低下していた。酵素基質反応速度式であるMichaelis-Mentenの式にあてはめて輸送定数である最大輸送量(V_<max>),結合定数(K_m), 拡散定数(K_d) を非線形最小二乗法にて求めると,虚血群ではV_<max> の低下とK_mの上昇がみられた。つまり,虚血群ではグルコース・キャリアーの数の減少と,キャリアー自身のグルコースに対する親和性が低下しており,脳虚血におけるグルコース輸送抑制機序としてキャリアーの機能障害が示唆された。
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