小修理を考慮したマルコフ劣化システムのコンポーネントに対する取替方策
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
n個のコンポーネントから構成されたシステムの各コンポーネントに対する取替問題を考える。各コンポーネントはマルコフ的劣化で、その状態空間をE_i(i = 1、 2、・・・…、 n)とする。コンポーネントの状態x_i∈E_iが大きい程、劣化の程度も大きいものとする。また、システム故障が起こったとき、その故障の程度を示す状態をx_0∈E_0とし、この状態x_0に依存した小修理費用を考える。ただし、E_0の最小元x_0=0はシステムの動作状態を表わすものとする。このシステムの状態空間をE=II^n_<i=0>Ei、状態推移確率をQ(x、U)、ただし、x=(x_0、κ_1、・・・…、x_n)、U∈Eとする。一般に、コンポーネントは同一環境にあることから推移確率は必ずしも独立でない。各期の初めに、システムの状態xを観測し、各コンポーネントを取替えるか、取替えずに動作をつづけるかの決定が行われる。さらに、システムに対して小修理を行うか、行わないかの決定も行われる。考慮される費用はコンポーネントiの取替費用c_i(x_i)、取替えの固定費用K(x)、小修理費M(x)、システムの稼動費用B(x)の4種類とする。本論文では、このような確率的、経済的に独立でない小修理を考慮したシステムの各コンポーネントに対して、総期待割引費用を最小にする取替方策の構造を明らかにすることである。システムの状態を表わすマルコフ劣化過程が確率的に単調であるとき、すなわち、E上のすべての有界単調増加関数fに対して、∫f(u)Q(k、du)がxに関して単調増加であるとき、費用と取替え、小修理時間についての適当な条件のもとで、取替・小修理方策がコントロールリミットポリシーの形を持つことを示す。さらに、最適な決定領域の性質を調べて、他の取替方策、(n、N)方策、(t、T)方策との関係も示す。最後に、取替方策の性質を示す数値例と適用が容易である簡単な取替方策が示される。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文