n人協力ゲームにおける配分の下界について
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概要
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n人協力ゲーム(N、v)において、各プレーヤーへの考えられる利得分配の集合を配分集合、その要素を配分と呼ぶ。n人協力ゲームの解とは、配分集合の首粉集合であって、ある妥当性の規準を満昆するような配分の集合のことである。Milnorは、配分の各成分の、上界であるべき量を提案している。筆者は、この上界に対応するものとして、その成分が、配分の各成分の下界であるぺきと考えられる数ベクトルm(v)を提案した。交渉集合またはカーネルと呼ばれる解に配分が属している場合に、m(v)が下界になっているかどうか調べた。しかしm(v)の、すべての成分について稲をとるとv(N)より大きくなることがある。このことはm(v)は下界ではあり得ない。従って本論文では、特性関数vが単調であるようなゲーム(N、v)で、m(v)の成分和がv(N)より大きくなる場合について調べている。成分和の取り得る最大値はn/(n-1)であって、このときは、ゲームは、ある対称ゲームv^*である。0-1正規化されたくゲームで特性関数vが単調であるようなゲーム全体の集合Vは、2^n-_n-2次元数空間におけるコンパクト凸集合とみることが出来る。ゲーム_v^*はVの内点である。ゲーム_v^*とvの凸結合であるようなゲームをv'とすると、m(v')はm(v)^*とm(v)の凸結合である。すべてのゲームはv^*とVの境界に属するゲームとの凸結合の形に表わされる。(v)^*は容易に計算される。従ってVの境界に属するゲームvのm(v)を調べることにより一般のゲームv'についてのm(v')を調べることが考えられる。vがVの境界上にあればm(v)の成分和はv(N)以下である。従って特性関数の値が1か又は1のみであればm(v)の成分和は0または1である。Vの境界上にあるゲームについてm(v)の成分和がv(N)に等しいための、即ちm(v)が配分であるための条件を求めることが出来る。m(v)の成分和がv(N)より大きいとき、ゲームvのカ一ネルは配分集合の内点のみから成る。成分和がv(N)に等しいときはm(v)はゲームvのコアと呼ばれる解に属する。従ってこの場合vのコアは空でない。vが凸集合Vの端点であるときはm(v)はカーネルに属する各配分の下界である。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文