登校拒否問題から学校と教師を問い直す (<特集>価値多元化社会における教育の目的)
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概要
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登校拒否は今日の学校と子どもの状況を明確に示す問題である。すなわち70年代中頃以降、学校の機能は人格評価による生徒支配の場へと変化してきた。そして登校拒否児が示す苦悩と不安はそのような学校に対する過剰適応によって生み出されているのである。しかし、教師にとって子どもたちのこの苦悩と不安を理解することは簡単なことではない。それを理解するには、教師の仕事が求めるカとはまったく異なるカが必要だからである。本論文は学校の変質と生徒の人格支配が学歴社会の転換によってもたらされたことを、登校拒否問題の分析を通して明らかにした。同時に本論文は、登校拒否の理解が教師にとって困難である理由を解明し、その困難を克服するための諸条件を治療教育の実践の検討を通して明らかにした。それらの諸条件は学校再生のひとつの方向をも示していると思われる。
- 1997-09-30