肉料理における塊肉の利用頻度と調理法の種類 : 昭和20年以降, 現在に至る変化
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概要
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『婦人之友』戦後誌の肉料理記事から焼肉料理のみを取り出して調査資料とし,焼肉の調理素材としての利用状況,料理の種類と調理法,調味法などから焼肉料理としての年代的た変化を捉え,さらに執筆者別に焼肉の利用度,食事目的別に肉種別の利用度と料理の内容について比較分析し,家庭料理としての焼肉調理の特色を考察した。要約すると次のようである。1.焼肉の利用度は,塊肉料理の通年出現頻度としては肉料理総数に対して約2割であり,肉種別では特に豚焼肉の利用度が高く焼肉総数の半数を占め,肉種別の最多例数を示す年代は牛焼肉では60年代,豚焼肉は40年代後半,丸鶏では30年代の後半であった。年代別の利用度は食肉の供給状況・消費傾向との関連が認められた。2.焼肉の調理形態は部位焼肉,中抜き丸鶏・七面鳥などの基本形態のほかに,特殊形態として背開き鶏,詰め巻・袋状詰め肉,鶏ガランティンなどの多様な形態がみられ,45年以降に多かった。3.調理法のうち焼肉で頻度の高い調理法は,1位ロースト,2位ゆで煮,3位煮込みの順であるが,肉種別では,牛肉はゆで煮,豚肉は煮込み,丸鶏では天火焼ローストが1位を占める料理であった。4.ゆで煮料理やロースト類にみる調味法の変化は,50年以後に顕著に認められ,醤油や複合調味料,香味材料だとが併用され,用い方には和風感覚が活かされ,より高度な味を求める嗜好の変化が,調味に多様性をもたらしている。5.執筆者別による焼肉の利用は他の婦人雑誌と異なって,プロ,セミプロなどによる料理よりも一般主婦による料理が多く,6割を占めていた。そしてそれは50年代に多くみられた。6.一般主婦の料理は多様であり,日常食と特別食の料理とに分けられ,ほぼ同じ程度に用いられていたが,牛焼肉の場合に日常食がやや多かった。7.一般主婦の焼肉料理はロースト,ゆで煮,煮込み,銀ロースト,の順に利用され,主にローストは特別食,他は日常食の利用形態であった。
- 1992-08-20
著者
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