乾燥おからを原料とした白醤油の試醸について : 酵素剤を使用する製法の検討
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概要
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おからを原料とする白醤油の試醸を検討した。その際, おからの物性を改変し, 圧搾・ろ過性を向上させるため, 植物の組織を崩壊させる酵素剤を用い, 次の結果を得た。1. Pectinase系酵素を2種類, Cellulase系を1種類, Xylanase系を2種類, さらにProtease系を2種類の系7種類の粗酵素剤処理によるおからのろ過性への影響を検討した結果, Pectinase系酵素剤セルロシンPE60 (pectinase)が添加しないおからに比べて1.4倍のろ過性を示し, ろ過液に着色も認められなかった。したがって, この酵素剤を選択した。2. 酵素添加おから白醤油は, 全窒素量が常法(対照区)の大豆白醤油に比べて, 1.2倍であったが, 甘味度を表す直接還元糖量は1.29%の低い値を示した。また, 香気成分のエタノール量は常法の2.6%にたいし, 2.9%とやや高かった。3. 酵素添加のおから白醤油の色調は, 常法に類似し, 白醤油として好ましいと判定された。4. 酵素添加のおから白醤油諸味のろ過性は, 常法に比べて1.1倍とやや速く, 圧搾ろ過性の向上を認めた。5. 酵素添加のおから白醤油は, 甘味の少ない発酵型白醤油として製造し, 利用しうるものと推考した。本研究を行うに当たり, ご協力いただきました福岡県醤油醸造協同組合技術部の大場和徳氏に深謝いたします。
- 1996-06-29