設備系ホームネットワーク"ECHONET"の概要(<特集>最新のシステム制御化照明)
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概要
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わが国は,現在,地球規模の環境対策と高齢化社会への対応という二つの大きな問題に直面している.一つ目は,1997年12月に開催された地球温暖化防止京都会議にて,CO_2を含む温室効果ガス排出量の削減目標値が定められた.わが国では,2008年から2012年平均で1990年水準の排出量に対して6%の削減が義務づけられている.しかしながら,2000年度において,1990年水準に対し8%増加していると報告されており,目標値を達成するには,今後14%程度の削減が必須と試算されている.日本の最終エネルギー消費の推移では,1990年に対し2000年度の実績では,民生部門が21.4%増と報告されている.取り分け,民生部門においては,生活の利便性や快適性の追求,24時間型社会の拡大,女性の社会進出により家庭にて使用される家電機器の大型化,種類の増加,家電機器の長時間利用,さらには,家庭内でのIT化によるパソコンの普及などがエネルギー消費量増大の要因の一つとなっており,この傾向は,今後も継続すると予想されている.このことから,家庭におけるエネルギー消費の削減が重要な課題となっている.家庭におけるエネルギー消費の削減では,家電機器メーカーの努力にて,家電機器単体での省エネルギー対策が進められており,成熟した機種については,限界に近づきつつある.このような状況の中で,エネルギー消費の削減を実現するには,機器単体でなく,複数の家電機器を効率的に動かすようなシステム的な仕組みを構築して居住空間をマネージメントすることが必要となっている.二つ目は,高齢化社会の到来である.「H12年厚生白書」(厚生労働省H14年度)によれば,2000年には65歳以上の人口が2187万人,高齢化率が17.2%(概ね人口の6人に1人)となり,今後さらに高齢者数と高齢化率は増加し,2010年には65歳以上人口は2812万人,高齢化率は22.0%になると予想されている.高齢者が安心かつ安全に生活できる環境を社会全体でつくりあげることが,重要な課題となっている.これらの課題を解決するには,家庭内の照明機器をはじめとする家電機器,ガス器具,健康管理機器,各種センサをネットワークで接続し,家庭内をシステムと捉えて管理することが必要である.家庭内の機器をネットワークで接続するには,既設の家屋でも手軽に敷設が可能な伝送媒体の採用や,異なるメーカーの機器でも容易に接続できるネットワークシステムの構築が必要である.ECHONETコンソーシアムは,これらの家電機器やセンサ類をネットワークに接続するための通信規格を策定するとともに規格に基づくネットワーク対応の家電機器の開発や普及を促進することを目的に,国内外の家電メーカー,電子部品メーカー,ソフトウェアメーカー,電力・ガス・通信サービス事業者などの賛同を得て,1997年12月設立された非営利の民間団体である.本コンソーシアムは,標準規格の策定,コンソーシアムの運営・普及促進活動を行うA会員(シャープ,東京電力,東芝,日立製作所,松下電器産業,三菱電機およびその関係会社)と,ユーザの立場で標準規格策定への意見や要望を行うとともに標準規格対応製品の開発を行うB会員およびその関係会社の合計107社で構成されている.ECHONETコンソーシアムでは,ECHONET(Energy Conservation and HOmecare NETworkの略),日本語表記の「エコーネット」およびそのシンボルマークをロゴマークとして認定し,標準規格対応製品には,このロゴマークを貼付することにより,異なるメーカー間でも相互接続が可能であることを表現することにしている.1997年12月の設立後,標準規格の策定作業を進め,2000年3月にECHONET規格書バージョン1.00を策定した.さらに,バージョン2.00,バージョン2.10とバージョンアップを進め,基礎となる規格が完成し,2002年10月には,会員以外にも公開した.最新では2002年8月には,伝送メディアとしてパソコンとその周辺機器やPDA(携帯端末)間の通信手段として普及が期待されるBluetoothや事務所や家庭内のパソコン系ネットワークとしてデファクトとして利用されているイーサネット対応の家電機器との接続規格を定めたバージョン3.00も完成した.一方,製品開発については,会員企業にて,本規格を搭載した家電機器やネットワーク対応部材の開発が進められ,実用化段階に入りつつある.ここでは,ECHONETの標準規格の概要,規格に対応した製品化の状況,それらを利用したホームネットワークシステムの実証実験の例を紹介する.
- 2003-10-01
著者
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