物価変動会計に関する国際会計基準 : 国際会計基準第15号および第29号の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
The International Accounting Standards Committee(IASC) has published two International Accounting Standards(IAS) concerning accounting for changing prices : IAS15, Information Reflecting the Effects of Changing Prices(1981), and IAS 29, Financial Reporting in Hyperinflationary Economies(1989). IAS 15 deals with information reflecting the effects of changing prices on the measurements used in the determination of an enterprise's results of operation and financial position. This information is supposed to be supplementary to the primary financial statements. This standard applies to enterprises whose levels of revenues, profit, assets or employment are significant in the economic environment in which they operate. IAS 29 applies to the primary financial statements, including the consolidated financial statements, of any enterprise that reports in the currency of a hyperinflationary economy. IAS 15 proposes two basic approaches to preparation of the information reflecting the effects of changing prices : the general purchasing power approach based on the maintenance of real capital, and the current cost approach based on the maintenance of physical capital(operating capacity of the enterprise). In this paper,I will introduce IAS 15 and IAS 29, and examine the proposed several methods of accounting for changing prices, concentrating on the current cost approach of IAS 15. アメリカの証券取引委員会やわが国の大蔵省などが加盟する証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions; IOSCO)が、1995年に、国際会計基準委員会が国際的な資金調達を行う企業の財務諸表に関する包括的な会計基準(コア・スタンダーズ)を完成させれば、国際会計基準を承認すると表明して以来、各国の会計制度が国際会計基準を中心に動き出している。会計ビッグ・バンと呼ばれる近年のわが国における会計制度の急激な変革は、この流れの一環にほかならない。 本論文は、筆者がこれまで研究してきた物価変動会計の分野における2つの国際会計基準、すなわち国際会計基準15号『物価変動の影響を反映する情報』(以下、IAS第15号)と国際会計基準第29号『超インフレ経財下の財務報告』(以下、IAS第29号)を取り上げ検討するものである。IAS第29号は、超インフレ経済という特殊な状況を前提としたものであるので、本論文は、IAS第15号を主たる検討対象とする。 近年のインフレの沈静化のもとで、古くから論議されてきた物価変動の会計問題は現在低迷の時期にあるといえる。しかし、物価変動を会計的にいかに扱うかという問題は、資本維持やそれに基づく利益計算という会計の基本にかかわる問題であることに変わりはない。国際会計基準にこの分野の基準が設けられているのも、同じ趣旨であるに違いない。本論文では、国際会計基準においていかなる物価変動会計が想定されているかを、イギリスやアメリカの公的提案との比較を交えながら改めて検討してみたいと思う。なお、以下の本文中に示す項数は、それぞれの基準書における該当パラグラフを指すものである。
- 文教大学の論文
著者
関連論文
- 物価変動会計に関する国際会計基準 : 国際会計基準第15号および第29号の検討
- ヨルディの二元的資本維持論 : 近年の英国における公的提案との比較
- ノービーの資本維持キャッシュ・フロー表
- 実体自己資本維持論におけるギアリング修正の基本的類型
- 営業能力概念の諸相
- シュミット学説における財産価値変動勘定の性格
- 費用測定における取替法的諭理と廃棄法的論理 : ゲルトマッハー説とシュミット説の相違