貿易の利益と環境汚染 : 小国の場合
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概要
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本稿の目的は、国内に環境汚染物質を排出する産業(工業部門)と、その汚染によって生産活動が影響を受ける環境依存型産業(農業部門)が存在するとき、国際貿易はいかなる効果をもつかを理論モデルで考察することである。主な結論として、第一に、貿易開始後に工業品を輸入するとき、この国の厚生はその貿易によって必ず改善する。工業品を輸入することによって、環境汚染型産業の生産を縮小することができ、農業部門の生産性が高まるからである。第二に、貿易開始後に工業品を輸出するとき、貿易により損失が発生する場合がある。不完全特化している下での工業部門の生産の拡大は、農業部門の生産性を下げる効果をもつためである。環境汚染が生産活動に影響を与える場合、小国は貿易により必ずしも利益を得るわけではない。
- 尚美学園大学の論文
- 2002-11-30