南極海の浮游繊毛虫類(生物部門)(<特集>南極シンポジウム)
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概要
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宗谷第三次航海で,福島横浜市大助教授によってケープタン以南において航行中表面水を約70本のビール瓶に採水固定された材料の寄与を受けた.瓶中のミクロプランクトンを調べ今回はそのうちの浮游繊毛虫類について報告する.水温20℃以下を南極海域とみなしこの水域から採集されたプランクトンを研究の対象とした.この海域からは次の8種の繊毛虫が検出された.Didinium gargantua MEUNIER,Tiarina fusus(CLAPAREDE & LACHMANN),Stenosemella nivalis(MEUNIER),S. avellana(MEUNIER),Helicostomella antarctica n. sp.,Protocymatoculis pseudoconia n, sp.,Cymatocylis parva(LAACKMANN),Metacylis corbula KOFDID & CAMPBELL.このうちで最初の2種は全毛虫類Holotrichaに属し,その他は有鐘繊毛虫類Tintinnoineaの種である.Tintinnoinea中には北極系のParafavella,Ptycocylis属,南極系のLaakmanniella,Protocymatocylis,Cymatocylis属の如く南北両冷水域で各々独立した属がみられる.従ってこの繊毛虫類については分布に関する完全な両極性Bipolarityは認められない.この事実をこの研究で確かめることができた.なお20℃以上の暖水域の材料からは次の有鐘繊毛虫を見出した.Tintinnopsis gracilis KOFOID & CAMPBELL,Stenosemella nivalis(MEUNIER),Rhabdnella elegans JORGENSEN,R. quantula KOFOID & CAMPBELL,Tintinnus lusus-undae ENTZ.
- 国立極地研究所の論文