ツマグロヨコバイの休眠誘起に及ぼす日長の影響
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概要
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ツマグロヨコバイの越冬生態を解明する一環として,越冬幼虫の出現機構を明らかにしようとした。初期越冬幼虫のふ化時期の気温を考慮して,25°Cにおける休眠誘起に及ぼす日長の影響,臨界日長,光周感受期,休眠の維持に必要な日長条件について調査した。1. ツマグロヨコバイは休眠個体と非休眠個体にはっきり分離せず,休眠は幼虫期間の延長として現われる。2. 第1世代幼虫をふ化直後から短日条件(12L以下)にしても発育遅延は認められず,幼虫期のみの短日条件では休眠が誘起されなかった。3. 長日条件(14L)の成虫が産み付けた卵を2日以内に短日条件(12L)にすると発育が遅延し,卵期の短日条件によって休眠が誘起された。4. ふ化前3日間の短日条件(8L)によって休眠が誘起された。光周期に敏感な卵の発育段階は眼点形成期である。5. 幼虫期を長日条件にすると容易に休眠が覚醒し,休眠の維持には卵期から継続した短日条件が必要である。6. 休眠誘起の臨界日長は12.5∼13.0Lであり,休眠維持の臨界日長は12.5Lであった。7. 20°Cではふ化当初から短日条件(8L)にすると卵期に誘起された休眠の半分程度の深度の休眠が認められ,1令幼虫も光周期を感受するものと思われる。8. 越冬幼虫の出現初期には,日長条件が主要因として休眠が誘起され,それ以後は気温の低下と日長の短縮によって休眠の誘起および維持がなされ,越冬幼虫になる。
- 1978-05-25
著者
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