カイコの交尾行動における触覚信号の役割
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概要
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カイコ蛾の交尾行動についての行動学的な解析の結果,次のような知見が得られた。1) 性フェロモンを触角で感知した雄蛾が羽ばたきをしながら雌蛾に接近すると,主に前胸脚をつかって雌蛾の腹部,特に後部3体節付近に接触する。このとき鱗粉より受ける触覚刺激が解発因となって腹部を曲げて交尾を試みる行動を開始する。雄蛾は胸脚のみならず,触角でもこの鱗粉による触覚刺激を受容し,腹曲げ行動を解発することができる。2) 雌蛾は雄蛾の翅または胸脚で腹部や翅に接触刺激を受けると誘引腺を収縮させて閉じ,雄蛾の交尾を可能にする態勢をとるとともに翅を垂直に揚げて,雄蛾の接近を可能にする。3) 雌蛾の誘引腺を閉じる行動と翅を揚げる行動は非特異的な接触刺激でも触発される。以上の結果をもとにカイコ蛾の交尾行動の一連のプロセスを推定,検討した。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1982-02-25