岡山県南部に発生するミカンハダニ個体群の休眠性と寄主選択性の比較
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概要
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ナシに寄生するミカンハダニの休眠・非休眠性個体群の分布境界線近くとされる岡山県南部において,互いに近接しているが発生パターンの異なる二つのナシ園の個体群と一つのミカン寄生個体群についてそれらの休眠性と食性を比較した。その結果は以下に要約される。1) 二つのナシ園からの個体群を累代飼育し,15°C・8Lで休眠誘起を試みたが,百枝月産個体群からはほとんど休眠卵が生まれ,西隆寺産個体群からは非休眠卵が生まれた。また,ミカンに発生する牛窓産個体群は非休眠卵のみを産んだ。2) 休眠性個体群はナシ葉では正常に発育と産卵ができたが,ミカン葉ではほとんど成虫まで発育できなかった。これに対し,非休眠性個体群はナシ・ミカンいずれでも発育と産卵ができた。3) 個体群増殖力は,ナシを与えた場合非休眠性個体群(西隆寺産・牛窓産)のほうが,休眠性個体群(百枝月産)よりもはるかに高かった。また,ミカンを与えた場合,休眠性個体群のそれよりもやや高かった。4) ナシ・ミカンのいずれで発育した場合でも,また休眠・非休眠個体群いずれにおいても,ナシ葉のほうがミカン葉よりも強い選択性を示した。5) ナシ寄生の非休眠性個体群(西隆寺産)とミカン寄生の個体群の光周反応・食性はきわめて類似していた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1983-08-25
著者
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