家蚕の 5 齢幼虫血液および絹糸腺の尿素含量に及ぼす飼料の影響

概要

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家蚕幼虫の5齢起蚕から化蛹までの血液尿素量の変動を人工飼料育と桑葉育で比較した。血液尿素-N量は, 人工飼料育では食餌している間はほぼ200〜300μg/mlの間で推移したが, 食餌を止めて吐糸し始めるとともにその量は急激に増加し, 化蛹直後にはほぼ800μg/mlに達した。一方, 桑葉育では5齢起蚕からしだいに減少し, 熟蚕に至ると血液尿素-N量は雌雄ともに100μg/ml以下に低下した。桑葉育における血液尿素量の低下は上蔟前2日間の桑葉の給与でも認められた。人工飼料育の熟蚕の血液尿素量は, 飼料中の脱脂大豆粉末や桑葉末粉量を増加すると高まる傾向を示した。また, 飼料成分のうちの1成分を欠如した飼料で飼育すると, 大豆油, 無機塩混合物および蔗糖などの欠如では血液尿素量は増加した。一方, 桑葉粉末, 脱脂大豆粉末, 馬鈴薯澱粉および防腐剤を欠如した飼料では血液尿素量は減少した。しかし, 人工飼料で飼育した場合, 桑葉育程度の低い血液尿素量を示す事例はなかった。さらに, 人工飼料育における繭層中に検出される尿素は主として中部絹糸腺からセリシンとともに分泌されたものであることを示す結果を得た。
日本応用動物昆虫学会の論文
1983-05-25