ニカメイチュウの分散, 分布の変化
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概要
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2化期のニカメイチュウの分布様式を3つの成長段階(若令期,壮令期,老熟令期)に分けて調べ,その結果について主として頻度分布型の上から考察を行なったが要約すると次のようになる。1. 株当たりの頻度分布の状態は第1図のように若令,壮令,老熟令と明りょうな変化を示している。2. 全期間を通じてこの虫の分布はポアツソン分布よりも過大な分散を示している(第3表)。これはこの虫の産卵行動(期間の早晩,卵粒数の大小)に主な原因を求めることができるであろう。3. 幼虫の成長に伴う分散指数の変化および株利用率の変化を対照してみるとこの虫の成育初期における水稲株間の移動分散は成育後期におけるそれよりも明らかに大きいことがわかる。4. 稲株の茎数と幼虫数との関係を見ると若令,壮令の時期においては特別な関係が見られなかった。しかし老熟令期に至ると大株多虫の傾向が明りょうになった(第3図)。すなわちこの虫の分布は株単位にみると機会的分布からはほど遠く,しかもその成長時期によっての様相変化が大きい。そしてこれらのことはその原因を産下卵塊の変異性と,幼虫の移動,死亡などによる行動的特性,更に分布の場の不均一性などに結びつけて考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1962-06-30