ハスモンヨトウ幼虫の味覚に関する電気生理学的解析
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概要
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ハスモンヨトウ幼虫の味覚に関して,口器の小顋粒状体に存在する2本の感覚毛(Ss-I, Ss-II)における味覚細胞の種類と,それらの感受性などについて,電気生理学的手法を用いて検討を行った。1) Ss-Iには,塩類に応答するN1細胞,糖に応答するS1細胞,“苦味物質”ならびにアミノ酸に応答するR細胞,および水に応答するW細胞の4種類が,またSs-IIには,塩類に応答するN2とN2の2種類の細胞,furctoseに応答するS2細胞およびinositolに応答するI細胞の4種類が,それぞれ分布していることが明らかになった。2) もっとも鋭敏な応答がみられた物質を供試して,各味覚細胞の受容閾値を測定した。sucroseに対するS1細胞の,furctoseに対するS2細胞の,inositolに対するI細胞の,そしてsinigrinに対するR細胞の受容閾値は,それぞれ10-4M, 10-2M, 10-4M,および10-3Mであった。3) 糖(sucrose)と“苦味物質”(sinigrin)の混合液に対する応答を調べた結果,糖の存在がR細胞の感受性を抑制していることが判明した。4) 今回得られたハスモンヨトウ幼虫の味覚応答の実験結果と,すでに明らかにされているカイコ幼虫の味覚感受性とを比較し,両昆虫種にみられる植物選好性の違いについての考察を試みた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1993-08-25