マメシンクイガによる大豆の不稔について
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概要
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本報告は1955, 1956および1958年において,マメシンクイガによる大豆の不稔粒がほ場において生じているかどうかを検討した結果を述べたものである。大豆の被害粒としては普通の虫食い粒およびくず粒のほかに,珠柄部に傷害を受けた不稔粒が認められた。このような不稔粒は,特に長葉系統の品種に多く,被害粒の総数の約10∼15%を占めることがわかった。このような不稔粒の発生数は,莢数,莢室数および潜入こん数とは必ずしも比例しない。また,かかる不稔粒が多く生じた莢室は,生理的不稔粒が多く生じた莢室と一致しない。したがって,このような不稔粒が本種の加害によって生ずるという見解は,再び確認された。上述のごとき不稔粒の発生は,幼虫が莢室に潜入する前後において,珠柄部に傷害を与えた場合に限られる。莢の伸長期から種子の肥大初期において,珠柄部に人為的な刺傷を与えた場合,多くの種子は不稔粒となる。これらの事実から,その成因について若干の考察を試み,結局このような不稔粒は,マメシンクイガの幼虫による珠柄部の機械的な障害に基づく栄養障害によって生ずるものと推論した。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1959-09-30