カイコの脱皮・変態におよぼす緑きょう病菌(Spicaria prasina)生産物質の影響
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概要
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緑きょう病菌がその病蚕体液または培養液中に,結果的にはカイコの早熟化を促進し,2眠蚕または3眠蚕を発現させる作用,さらに蛹化または羽化を阻害する作用をもつ物質を生産することを明らかにした。1. 緑きょう病蚕のろ過体液を4齢起蚕へ注射することにより,3眠蚕が高率に発現した。2. 緑きょう病菌培養ろ液を3齢および4齢幼虫に注射することにより,3齢蚕からは2眠蚕,4齢蚕からは3眠蚕を生じ,その発現率は起蚕時注射区において最も高率であった。なお,他の硬化病菌培養ろ液による3眠蚕の発現はまったく認められなかった。3. 緑きょう病菌培養ろ液を注射された5齢幼虫および蛹は,蛹化または羽化をそれぞれ阻害された。4. 培養ろ液に含まれる作用物質は,エーテルおよびクロロホルム処理の水層部に,アセトン処理の沈殿部に分別され,温度による影響はうけ易いが,pHによる影響はうけにくいことが知られた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1975-09-25