カラスヨトウの周年経過, 特に夏眠について
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概要
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カラスヨトウの生活史を明らにするために,いろいろな飼育温度下での発育日数,夏眠覚せいの条件,平地での越夏成虫の個体数変動,および山地での越夏期間をしらべた。幼虫はレタスで飼育可能で,6令を経過した。1令幼虫から蛹まのの発育零点は8.7°Cであって,その間の発育零点以上の有効積算温量は約840日度であった。生存率と発育速度の調査から,幼虫∼蛹までの発育に好適な温度条件は,25°C附近であると推定された。いろいろな温度と日長を組み合わせて飼育した結果,成虫が夏眠から覚せいするのは,20°C-11hr照明の条件下でのみ認められた。越夏中の成虫は,平地においても山地と同様に,建物の隙間や屋根裏などの特定な場所に集合しているのが観察され,個体数では夏の期間中ほとんど変動がみられなかった。越夏地への集合の時期は年によって大きく変ったが,越夏地からの分散の時期はほとんど変らなかった。産卵時期は,10月中旬∼12月上旬であると推定され,産れた卵は休眠の状態で越冬することが予想される。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1975-09-25