産褥早期の疼痛と褥婦の心身の状態との関連
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概要
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産褥1〜6日の初産婦21名, 経産婦31名を対象に, 産褥早期の疼痛と褥婦の不安, 一過性の抑うつ傾向, 自覚症状の経時変化とその関連について調査した.身体各部位の疼痛は外陰部痛, 後陣痛, 乳房緊満痛の有無を調査した.また, 不安はSTAIの「状態不安尺度」を, 抑うつ傾向は一過性の「抑うつ症状」を, 自覚症状は日本産業衛生疲労委員会の「自覚症状しらべ」を用いた.その結果は以下のとおりであった.(1)外陰部痛と後陣痛の訴えは産褥1日に最も多く, 経産婦ではその後徐々に減少したが, 初産婦では減少の度合が弱かった.(2)乳房の緊満痛は経産婦では産褥2日, 初産婦では3日に多かった.(3)疼痛部位の総数は経産婦よりも初産婦に多かった.(4)経産婦は産褥3日間は初産婦より疲労の自覚症状を多く訴えた.(5)経産婦では自覚症状は徐々に減少したが, 初産婦では訴え数にはほとんど変化がなかった.(6)不安は抑うつ傾向, 自覚症状II群, 自覚症状総数と正の相関を, 抑うつ傾向は不安以外では自覚症状I群, II群, 総数と相関を認めた.(7)経産婦では疼痛は自覚症状I群と総数に相関が認められたが, 初産婦では認められなかった.(8)疼痛の訴えが多い経産婦では不安, 抑うつ傾向, 自覚症状I群, III群, 総数のそれぞれの訴えが多かった.(9)初産婦では疼痛の訴えの多いときには, 自覚症状III群と総数の訴えが多かった.これらをまとめると, 疼痛と心身の関係では経産婦では密接な関係が認められたが, 初産婦では経産婦ほど明らかではなかった.
- 日本心身医学会の論文
- 2001-08-01
著者
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