痛みの持続機関よりみた慢性腹痛の心身医学的検討

概要

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腹痛患者92例を対象に痛みの持続機関と神経症的傾向、診断名、合併症などとの関連について検討した。その結果、痛みの持続機関が長くなるほど、優位に神経症的傾向が強くなり、3ヶ月以上と以下、6ヶ月以上と以下のいずれにおいても有意差を認めた。痛みの原因となる診断名については有意差を認めなかった。痛みに関与する合併症の有無については、痛みが長くなるほど有意に合併症の頻度が高くなり、3ヶ月以上と以下、6ヶ月以上と以下のいずれにおいても有意差を認めた。合併症の病名については、IBS、慢性膵炎、うつ状態、胆道ジスキネジーの順に多かったが、持続期間との関連においては有意差を認めなかった。腹部手術の既往歴については、痛みが長くなるほど優位に既往の頻度が高くなり、3ヶ月以上と以下、6ヶ月以上と以下のいずれにおいても有意差を認めた。以上より、慢性腹痛について以下の点がわかった。(1)痛みの持続期間よりみると、慢性腹痛は3ヶ月以上とするのが妥当である。(2)痛みが3ヶ月以上に及ぶと合併症が増え、心理的要因とともに痛みの病体が多様になる。(3)腹部手術の増加は、消化管の持続が3ヶ月以下においても、すでに慢性腹痛の萌芽が認められる。
日本心身医学会の論文
1993-10-01

痛みの持続機関よりみた慢性腹痛の心身医学的検討

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