京都におけるマツカレハの生活環
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概要
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京都におけるマツカレハDendrolimus spectabilis BUTLERの生活環を明らかにするため野外の越冬幼虫の体の大きさ(発育令期)の変異と羽化時期の関係,およびこの両者と化性との関係を1967, 1968年の2年にわたり調査した。1. 越冬は4∼7令の幼虫態で行なわれた。2. 幼虫が越冬する場合,ふ化期の早い個体ほど越冬時の発育令期は進んでいた。3. 越冬時発育令期の進んでいるものほど早い時期に羽化する傾向がみられた。4. 1年に2回の発生の場合,第1回目の成虫に由来する幼虫の内,7月中旬までにふ化したものからは第2回目の成虫が9月末までに羽化した。しかし一部羽化しなかったものは5∼7令で越冬した。一方,7月中旬以降にふ化したものはすべて4∼7令で越冬した。5. 第2回目成虫の次世代はすべて4令で越冬した。以上のことから京都でも,1年に2回羽化する場合のあることが明らかになった。そしてその生活環は,系統として分離しているか否かは明らかでないが,年1化,年2化のものや2年で3化,3年で4化といった変則的な経過を示すものが混じり合っていることが考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1969-12-25