茨城県南部におけるイネヒメハモグリバエの周年経過
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概要
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茨城県南部におけるイネヒメハモグリバエの周年経過について調べた結果,つぎの知見を得た。1. 冬季でも成虫,卵,幼虫,蛹の各態の生息がみられ,水の切れない湧水地などで,イネ科雑草の青葉が豊富なところでは,生息数が多く,また各態はたえず発育をつずけ,蛹は浅い水中の枯葉や葉鞘にも寄生していることから,ある程度,水中にあっても生存できるものと考えられる。2. 掬い取りによって成虫の発生消長を調べた結果,1月末∼2月初め,4月中旬,5月中旬,6月中旬,7月下旬,8月末∼9月初め,10月中旬,11月末∼12月初めに,それぞれ発生の山があり,8世代を経過するものと考えられる。3. イネ科雑草における卵,幼虫,蛹の寄生状況や時期的推移から,年間の発生世代数を検討したところ,同様に8世代経過したことが推定された。室内飼育では8∼9世代経過した。4. イネに寄生した次世代(6月中旬に発生した第4回成虫以降)からは,雑草に移行したが,これは稲の生育が進み,気温も上昇するため,稲が本種の生息環境として不適になるためであると考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1966-09-25