滞日ユダヤ人家族における民族的文化の伝達・継承に関するー考察
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概要
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滞日ユダヤ人家族(滞日平均3.3年)が出身国のユダヤ人コミュニティを離れ、日本において民族的文化の伝達・継承を行なっている過程を考察した。日曜学校での参与観察と、生徒と母親への面接を行ない、戒律の遵守度や生活の変化等を尋ねた。来日後、聖日(Shabbat)礼拝への出席は減少したが、家庭内行事(蝋燭点火、聖日晩餐)は保持される傾向がある。母親が子供と聖書や戒律について話すことは少なく、日曜学校に通わせることに主な努力が払われている。父親が子供と過す時間は減少している。子供は家庭、日曜学校、国際学校の各文化場面で、両親とは異なる視点から民族的アイデンティティの意味を取得している。生活習慣の異なる他のユダヤ人、在日外国人社会、日本人社会と接触する中、民族的アイデノティティの意味を親も子も再解釈し、伝達・継承のメカニズムにも反映されている。
- 1988-09-30