人類学と「民族科学」 : スペイン・ガリシア地方の民間医療に関する一つの反省
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概要
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この論文は、スベイン・ガリシア地方における民間医療の研究の為の一つの導入を目指すと共に、民族医学(及びある意味で人類学一般)の方法論に関するある問題提起を行うことを目標とする。ここでは、民間医療は、「客観的な」「そこにある」ものとしての文化・社会現象ではなく、人々が主体的に関わっていく思考及び実践のシステム、我々の呼ぶ「民族科学」として捉えられ、またこれを解釈しようとする人類学的な諸枠組みもまた同レベルの「民族科学」として把握される。論文の前半でガリシアの民間医療に関する全般的な問題が論じられた後、後半では、「アイレ」と「邪視」というガリシアの二つの「病気」を主題として、それに関する人々の思考及び行動が、象徴論・民族精神医学・社会学・社会変化という四つの人類学的枠組みと対照されつつ検討される。最後に、これらの考察を踏まえ、人類学と「民族科学」の関係についての一つの認識論的展望が示される。
- 1988-09-30