高齢者の骨折が生活に及ぼす影響 : 転倒による大腿骨頸部骨折患者を例として
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概要
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骨折は寝たきりの原因の2位まであるが, その骨折が高齢者の生活にいかなる影響を与えているかを, 転倒による大腿骨頸部骨折患者と家族25組を対象に面接・事例調査をした。骨折後25名中23名に移動能力の低下を認め, それに関連して要介護者も5名から22名に増加し, 生活の場は自宅生活者が23名から13名に減少した。本人は移動能力の低下から将来生活への自信と意欲の喪失, 介護される事への戸惑い, 趣味や生きがいの変化等, 生活習慣全体が変化する事への対応に多くの努力を要し, 若年層と違った困難を経験していた。家族の生活影響は, 介護不安や再骨折の恐怖及び経済的負担などであった。高齢者は, 心身の老化から骨折しやすい難治である骨折自体の危険性に加え, 骨折後は本人のみならず家族も心理的動揺, 要介護状況, 家屋改造等, 骨折を契機にその後の生活全体に長期的影響を及ぼすである事が明らかになった。
- 茨城県立医療大学の論文