ロレンスとハーディ : Darwinismの視点から
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概要
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19世紀の半ば過ぎ,On the Origin of Species(『種の起源』,1859)とThe Descent of Man(『人類の起源』,1871)がC. Darwinによって出版され,Darwinismとして広く知られるようになった「進化論」(evolutionism)は,T. H. HuxleyやHerbert Spencerなどのいわゆる「進化論者」(evolutionists)の著作を通して,19世紀から20世紀初頭の英国の社会(大英帝国ヴィクトリア朝の繁栄と貧困の社会)やヨーロッパ,さらにアメリカで,現在想像される以上の広範な分野(生物学,考古学,地質学,人類学,さらに神学や文学)において大きなインパクトを与えた。この時代に作家活動をスタートさせたT. ハーディも例外ではない。ハーディの自然観,キリスト教への懐疑などにはDarwinismの影が色濃く投影されている。そして20世紀の初頭にハーディの小説から強い影響を受けて小説を書き始めたD. H. ロレンス。だがロレンスについてはこれまで,Darwinismとの関わりについて以外なほど論じられていない。殊に日本においてそうである。ハーディとの影響関係については,ロレンス自身がハーディ小説についての有名な大長編エッセイ'Study of Thomas Hardy'を書いていることもあってよく論じられているのに対して,これはやや意外の感がする。そこで本稿では,この二人の作家を,殊にロレンスを軸にして,Darwinismの視点から論じてみることにする。
- 愛知学院大学の論文
- 1998-09-20
著者
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- 寺田建比古著, 『「生けるコスモス」とヨーロッパ文明-D.H.ロレンスの本質と作品』, 沖積舎, 1997年, 675pp.
- D.H.ロレンスのアメリカ文学論 : 『アメリカ古典文学研究』を中心に